犯人がわからず、疑心暗鬼に陥っていた私は、万一友達に危害が及ぶのを恐れて、その日その友達の家に行くことを誰にも話しませんでした。
K助にすら、どの友達かは教えない(電話機の盗聴も疑っていたので)
でいたのです。それなのにその日、犯人はやってきてしまいました。
ということは、犯人は私を会社から尾行していたか、盗聴して知った「私の友達」というキーワードから、どの友達か見当がつくほど私の情報を持っているということです。
そして私は、前者の尾行は可能性として低いと考えていました。
もし会社から尾行していた=私の会社を知っていたなら、何らかの形で会社での私の立場を悪くするようアクションを起こしていそうなものですが、これまでのところ会社での仕事に影響が出るようなことは起きていません。
ということはつまり、犯人は私の会社を知らないか、知っていたとしても会社に直接アクションを起こしたくないあるいは起こせない…?
いろいろと不可解な点は多いですが、だいたいそのような感じで推測しました。
(ちなみに実際はこの時点でこんなに考えがまとまっていたわけではありませんwY太の協力と誘導で、自分の中の疑問を徐々に整理していった感じです)
私の話を聞いたあと、Y太はじっと考えていましたが、しばらくすると顔を上げて一言「わかった」と言いました。
何が「わかった」なのかわからず、困惑していると、Y太は「また連絡するから。今日俺に会ったことは絶対に誰にも言うな」とだけ言って席を立ちました。
私は何が何だかわからず、呆然とY太の後ろ姿を見送りました。
そして、その日から3日と待たず、およそ2ヶ月にわたった嫌がらせがぴたりとやみました。
始まりも突然なら終わりもまた突然でした。
K助は手放しに喜び、「辛かったな」と私を抱きしめ、まだ不安そうな顔をしている私に「また何があっても俺が守るから」と言ってくれました。
実は始めのうち、私はK助の浮気を疑っていたのです。
この嫌がらせは、K助の浮気相手が彼女である私を逆恨みしてやっているのだろうと。
私はK助に裏切られたのかもしれないと。
しかし、嫌がらせの中でK助との別れを要求するような内容のものはありませんでしたし、何よりこの2ヶ月間、K助は怯える私のために必タヒで仕事を早く終わらせ、毎日のように私といる時間を作って、なかなか寝付けない私が寝るまで優しい言葉をかけてくれました。
K助の抱える疲労とストレスも、私に負けず劣らず重いものだったはずです。
辛い2ヶ月ではありましたが、私たちは別れるどころか、より愛情と信頼を深めたように思えました。
実際この頃には、私はK助と早く結婚したいとまで思うようになっていたのです。
嫌がらせがやんでから1週間、Y太から連絡がきました。