ある日の朝、いつものように仕事に出ようと一人暮らしのアパートの部屋を出ると、ドアの取っ手の部分に覚えのない白いビニール袋がぶらさがっていました。
回覧板?いや、そんなもの一度も回ってきたことないし…。
大家さんから届けものかな?いやいy(ry
何せ初めてのことだったので不気味に思いましたが、とりあえず中を確認しないことには対処のしようがありません。
そっとビニール袋を取り上げ、手元に持ってきた瞬間、鼻をつく強烈な悪臭が。
腐った水のような、それでいてどこか生臭いような臭いでした。
恐る恐るビニールの持ち手の結び目を解くと、その臭いはより強力になり、目に涙が浮かぶのがわかりました。
それでもなんとか中身を確認しようと袋を覗いた私の目に飛び込んできたのは、小さめの赤黒い物体。
ぐちゃぐちゃにつぶされた動物のタヒ骸でした。
あまりよく見なかったのではっきりとはわからないのですが、おそらくネズミか何かだったと思います。
袋の側面にこびりついた汚れがその動物の目玉であると認識した瞬間、私は悲鳴をあげてその袋をほうり捨ててしまいました。
始末しなければとは思ったのですが、そのときは恐怖でまともに打ち捨てられたその袋を見ることが出来ず、そのまま逃げるようにして会社へ向かいました。
どうやって会社に行ったのか思い出せません。
会社へつくと、私の顔を見た人は皆「どうしたの?」と聞いてきました。
ひどい顔色だったようです。実際、その日は仕事にならず、生きた心地がしませんでした。
パソコンの画面を眺めているときも、お昼ごはんを食べているときも、同僚と仕事の話をしているときも、常に頭の中では今朝見たぐちゃぐちゃの動物のタヒ骸と、「なんで私に?誰が?どうして?」という言葉がぐるぐる回っていました。