ドアを開けた俺を、イト子の笑顔が迎え入れてくれた。
スーツはもうハンガーに吊るされ、外からの温度差で少し暑いかと思われるほどに暖房が効いた俺の部屋の中で、イト子は既に
風呂に入り終えた様子で昨日と同じだぶだぶパジャマの上にエプロンを付け、白い脚を見せ付けるように台所で野菜を切っていた。
「うん、何か調子悪くて帰らせてもらった。」
「そっかぁ? 大丈夫? 食欲ある?」
「うん、大丈夫・・・。」
一人では絶対に食べない、鍋料理。
豚肉のすき焼き。
半分ほど減った飲みかけのワンカップを目に留めたイト子は、「ちょうど良かった、料理酒買って無かったの。」と、残りを鍋
に注いだ。
すき焼きはとても旨かった。旨すぎる。反則だ。
たらふく頂いて満腹になった俺は、昨日の寝不足と酒が効いてきたようで、眠くなってしまった。
そのままちゃぶ台に足を入れたままで横になると、うとうとと眠ってしまった。
イト子が毛布をかけてくれたまでは覚えている。
不意に目が覚めた。
暖かい。