「あ、ほら、お風呂準備できたから、イト子さん入ってあったまってきて。バスタオル置いてあるから使って。」
二人とも息が弾んでいる。
従兄妹とはいえ、ハァハァと弾んだ息と一緒に上下するムネ
は妙に生々しく、また艶かしくもあり。
イト子は、負けを悟ると、頬をぷぅっと膨らませて、
「ありがと・・・ぜぇぜぇ。お先に頂きます・・・はぁはぁ。」と言って浴室に消えた。
俺は寝袋を茶の間の床に敷いて潜り込み、かき集めたレポートの資料に目を通し・・・通すふりをした。
さっきの息遣いと大きく弾むムネ
が脳裏を支配し、資料は目を通しても全く頭に入ってこなかった。
そう、俺はまだ、卒業していなかったのだ。大学もDTも。
ぬれた髪を乾かすドライヤーの音が、脱衣所から聞こえてくる。
従姉だ、従姉なんだ、本当の姉のような人なんだよと自分に言い聞かせていた。
「上がったよー 俺くんも入るの?」
と、脱衣所の襖を開けながら声をかけられた。
寝袋をまた争奪する戦いを避けたい俺は、
「いや、昼間入ったから大丈夫、お湯ぬいて下さい。」と返事をした。
もちろん、言い訳ではなかった。
従姉とはいえ女性に会うのは久々だったので、昼間のうちにシャワーを浴びていたのだ。
昼間の俺に「グッショブ」と親指を立て、資料に目を通す(ふりをする)俺。
しかし、血気盛んな年頃の俺。
つまり、真面目な大学生の俺と、色に狂いそうになるDTな俺が、頭の中でせめぎあう。
お湯がぬける音を聞きながら、
「ああ、俺の馬鹿野郎・・・、女体の浸かったお湯を一口飲んでから捨ててもらえば良かった・・」
と激しく激しく後悔するもすでに遅し。
改めてこの時、この生殺し状態に一週間も耐えなければならないのかと、恐怖におののいた。
参考書やら資料やらに必死に食らいつくが、全く内容が頭に入ってこない。
パジャマ姿のイト子が、寝袋で横になる俺の背中側を通る。
良い香りが放たれたように俺の鼻に飛び込んでくる。
苦しい。
「お茶でも煎れようか?」
とイト子が声をかけてくれた。
「あ、うん、ありがとう。」
振り向いて見上げると、解かれた髪はめちゃ綺麗。
だぶだぶの上だけパジャマに素足で、肩からバスタオルを上に羽織るようにかけているだけ。
多分、もうちょっと近かったら肌着が見えていたはず。
「!!!!!!!!!!」