大男のはずだ、少し近づいてみると、
190近い大柄の白人のおっさんだった。
消防隊員2「おい、本部に通訳になるやついるか確認!」
消防隊員3「警察にもその旨連絡!」
なんて、あわただしくやり取りしている。
見るに見かねて、日常会話にけがはえた程度ではあるが、
まったく英語しゃべれないわけではない俺は名乗り出た。
俺「すみません、あの、英語であれば多少はできますが…」
消防隊員4「え? ほんとうですか!? ちょっと来てください。」
白人のところまで連れてかれて、
消防隊員「どのぐらいガス吸ったかきいてもらえます?」
2度目の詰み。
いきなりそんなこと聞くのなんて想像していなかったから、
言葉に詰まる。なんて言えばいいの? ガスどれだけ吸ったかなんて。
なんとかつまりつまりしながら英語にする。
うまく伝わらない。
消防隊員もそれがわかって、質問を変える。
消防隊員「今体調悪いかどうか確認してください。」
俺「〜〜〜〜〜(英語)」
白人「No」
消防隊員「家族がいるかどうかを。」
俺「〜〜〜〜〜(英語)」
白人「YES」
消防隊員「住所氏名などを」
俺「免許証はあるか?(英語)」
白人「Yes.」と言って取り出す。
住所を見ると東京都の某所の住所だった。
住所が一致しているか、ここに家族がいるかも合わせて確認し、
その旨を消防隊員に伝言。
消防隊員「間もなく救急車も来るので、しばらく待つように伝えてください」
俺「〜〜〜」
待っている間、どれだけ俺たちが心配したと思ったんだ!?
といったら、素直に済まない、と謝られた。
なぜこんな異国の地で一人寂しく、家族もおいて行こうとしたのかも
聞かずにはいられなかった。
でも、さすが白人、個人的なことは「It’s personal.」で
ぴしゃり。答えない。
ちなみに白人は英国人だった。
まぁ、そんなこんなで俺たちは帰ることに。
消防隊員に「では、そろそろ帰ってもいいですか?」ときいて、
許可をもらい、バイクにまたがり駐車場を後にしようとする自分たちに、
消防隊員はおざなりの挙手の礼ではなく、
腰を曲げての正式な礼で送ってくれた。
ちなみに、この間ずっと指揮車だけだったのだが、
バイクで県道に戻ったら、そこが赤色灯の海。
ポンプ車複数台、レスキュー車、救急車、
警察車両複数。
そりゃそうだ、ヘタレな俺が肝心な車の詳細な情報を伝えていないのだから、
中には複数の人がいて、いずれも要救護の状態で、
なおかつ車はカギがかかっていてこじ開ける必要がある、
そんな最悪の状況を想定していたんだろう。
ふもとの市街地に着いた時は朝5時頃で、
うっすら紅色に染まる富士山が綺麗だったよ。
その後、あまりの非現実的な出来事で思った以上に体力を消耗した俺たちは、
ファミレスで食事をとった後、家路についた。
そんな俺たちのバイクは、
人の命を救えた? というかBADエンドではなかったことからの
開放感で普段より車体が軽かったのは言うまでもない。
以上がことの顛末だ。見てくれたみんな、有り難う。
なんか質問とかあれば答えるよ。