「ここにいる人達がお前らの恫喝ちゃんと聞いてんだよ。証言してくれる人もいるぞ?覚悟しろや、一生まともな生活おくれねぇようにしてやるよ」
そういうとケンタはセー病を置いて一目散に逃げ出した。
やっぱりヘタレはヘタレ、何も変わっていなかった。
セー病は「は!?どこいくん!?」と慌てているが、ケンタはすでに人ごみの中に紛れて消えていた。
若い警官が
「お待たせしました!お怪我は?」
と事故処理のための書類を持ってやってきた。
もうひとりの中年の警官は交通誘導に必要なものをトランクから出している。
すると人ごみの中から「こっちこっち!」と声がして、その声に誘導されてもうひとり自転車の警官がやってきた。
若い警官がオレ、自転車の警官がセー病に話を聞いている。
オレの言う事とセー病の言う事は180度食い違っていたが、目撃者の証言でセー病が全面的にウソをついている事が証明できた。
しかも運転中に彼氏と携帯で話していたこと、花火が上がったときに見とれて前を見ていなかったことがわかった。
若い警官が
「気分を悪くされるかもしれませんけど・・・」
と自分がドコに気をつけていれば事故を防げたか聞いてきた。
どうしたら・・・と言われても後ろから追突なのでどうしようも・・・と言うと、そうですよねぇ・・・と言いながら後方をしっかり確認する、と書いていた。
Yさんと野次馬の数人が「恫喝された」という事を警官に話していたのでそれについても詳しく聞かれた。
幸いケンタの実家は知っていたし、名前も住所もわかったので警官が無線ですぐに実家に行くように手配していた。