HIDのクッソまぶしいライトが煌々とついていて運転席が見えないので、とりあえず車の横へ周った。
運転席ではなぜかサングラスをかけた若い女(以下セー病)が携帯で誰かと話しながら大声で怒鳴っている。
警察を呼んでくれてるんだろうか、と思い窓をコンコンと叩くとその女はビクッとしてこっちを見た。
メットのバイザーを上げて手招きして外へ出るように促した。
すると窓がウイィィンと開いてセー病が言った。
「すいません、もう少しで彼氏と電話が終わるんで待って下さい」
おいお前正気かよ・・・なんで警察じゃなくて彼氏なんだよクソが!と思って目を点にしているとYさんがやってきて
「すぐに救急車が来ます」
と伝えてくれた。
とりあえずバイクを野次馬の人達に手助けしてもらって道路に端に寄せ、Yさんも車を左端へ寄せた。
セー病は相変わらず電話に夢中で車を寄せようともしない、それどころかオレに追突してから一度も車から降りてきていない。
野次馬の数人が他の車を誘導してくれている間に救急車が来た。
隊員が呆然と立っているオレに
「大丈夫ですか?どこに痛みがあるかわかりますか?」
と聞いてきた。
オレは左腕と首、腰と足が痛い事を伝えた。
隊員のひとりはYさんに話を聞いている。
ここでようやくセー病が車から降りてきた。