前の車の運転手(以下Yさん)が後ろから追突されたと思って運転席から出てくる。
すると車やバイクじゃなくて人間がバンパーにぶつかりぐったりしている。
すぐに「大丈夫ですか!?」と駆け寄ってきてくれた。
どうやら転倒して頭をぶつけた時に軽く脳震盪を起こしていたみたいだった。
朦朧としながら「ら、らいじょうぶだす・・・・」とか応えていたと思う。
5分ほどしてようやく動けるようになってバイクを見に行った。
細かい所はわからなかったけれど、外装は左側がキズだらけでこりゃとんでもない修理費がかかるなぁと思った。
Yさんがすぐに救急車を、と言うので
「そんな大げさな事じゃないですよ〜」
と言ったら、運転手は青い顔をして左手を指出した。
「で、でも、折れてますよそれ・・・」
ときょどりながら言う。
見ると、なぜかまくれた袖から出ている腕はゾウの足のようにパンパンに膨れ上がり内出血で赤黒くなっていた。
混乱してさすったり動かしたりしているとYさんが
「左腕が痛いというので、失礼でしたけど袖をまくらせてもらったので・・・」
と言った。
混乱していた俺は
「あ〜どうも、ご迷惑かけまして・・・」
と素っ頓狂なことを言っていた。
野次馬もどんどん増え、花火を見ている人よりもオレと追突した車を見ている人のほうが多くなってきた。
Yさんはテキパキと救急車に電話をしてくれている。
ここでようやく、あれ?オレにぶつかってきた車は?と思って後ろを見た。