「おい、お前ケンタ?○○中学校の?」
「あ?お前に関係あんのかよ?」
「お前、オレって奴知ってるだろ?」
「・・・あ?」
「偉くなったよなぁ、いじめられっこのヘタレ野郎」
ケンタはオレの顔を目を丸くしてみている。
この男、中学校の時のクラスメイトで、DQNグループの下っ端のケンタだった。
中学の時に1年から卒業までずっと同じクラスで、クラスには友達がいなかったケンタ。
他のクラスの不良仲間に万引きやカツアゲの道具としてこき使われてたケンタ。
何も言えずヘラヘラしては小突かれ、蹴られ煙草を買いにいかされてた情けない男ケンタ。
使い物にならないからといじめられてたのを、DQNグループのリーダー格と幼馴染だったオレが「やめてやってくれ」って頼んで助けてやったケンタ。
身長こそオレと同じ位になって、金髪DQNと化していたが顔はやはり大きくは変わらない。
ケンタのさっきまでの粋がった顔は、一瞬で中学校の時のよく知っているケンタになっていた。
セー病が「ケンタの親父は893なんだよ!お前どうすんだよ!」と怒鳴りつけてきた。
ケンタの顔が「まずい」という感じに歪む。
「へぇ?お前の親父893だったんだ?ただの八百屋だろ。いいよ、呼べよ893。てめぇ中学校の時に助けてやったのに恩をあだで返すのかよ?」
「いや、そういうわけじゃないけど・・・」
「あ?だったらどういうわけだよ?今すぐ言ってみろよ?」
「いや、あの・・・久しぶりで誰かわからなかったから・・・」
「誰かわからなかったらテメェは893の名前使って恫喝すんのか!?おいテメェ覚悟できてんだろうな?警察呼んでんだよ、そのセー病と一緒にしょっぴかれてぇのか?」
セー病はまだわかってないのか「はぁ!?マジウザイ!なんなんコイツ!」と悪態をついている。
ここでようやく警察が到着。
セー病もケンタも顔が引きつっている。