娘の純粋さや思いやりを感じるほど、
俺は今嫁に対する猛烈な怒りを感じるようになった。
娘と一緒にいるうちは、怒りもなんとかそれも抑えられたんだけど
娘を元嫁のところに送り届けて一人になると
もう怒りでハンドル持つ手が震えるぐらいになってた。
年端も行かない娘にあんなこと言うなんて、絶対許せない
俺はやる気マンマンで家に帰った。
家に帰って玄関の扉を開けるなり、嫁に大声で怒鳴りつけた。
俺は元々、そんなに激しく怒ったりしないタイプ。
最初嫁は、俺が何で怒ってるのか分からずオロオロしてたが
俺が怒ってる事情を知ると、嫁は開き直って
「あかりちゃん(娘の仮名)、こっそり告げ口なんてするんだ。
可愛い顔してるのに。いやらしい」
と吐き捨てるように言った。
その一言で、もう俺は完全にキレてしまった。
今までの人生の中で、あれほど怒ったことなんてないと思う。
椅子蹴っ飛ばして、ガラスなんかも割ってしまった。
幸い、嫁をなぐったりはしなかったけど、後ちょっとでボコボコにするとこだった。
俺は、嫁のタンスを開けて荷物を玄関先に投げ捨て始めた。
小物や宝石類なんかも次々に玄関から投げ捨てて
旅行用トランクや大きめなカバンも投げ捨てて
「出てけ!!!」
と嫁に怒鳴った。
嫁は、俺がガラスのパーテーションを割ったあたりから金縛り状態だった。
普段怒ったことのない俺が烈火のごとく怒ったから
脳がオーバーフローでもしたんだろう。
俺が物凄い勢いで玄関から物を投げ捨てるのを泣きながら見てるだけだった。
途中嫁は
「私とあかりちゃんのどっちが大事なの?」
とか叫ぶように言ってたけど、完全に頭に血が上ってた俺は
「娘に決まってんだろ。このバカが」
軽く一蹴した。
もちろん娘の方が大事だというのは本心だ。
でも、もし俺が冷静だったら「そんなの比べられないよ」とか言って
お茶を濁してたと思う。
おそらく嫁も、そんな答えを期待してたんだろうな。
俺は、嫁の服や小物を全部玄関先に投げ捨てて、
泣き叫ぶ嫁を家から叩き出して玄関の鍵をしめた。
嫁はしばらくは玄関先で何か叫んでたが
しばらくしたら静かになった。
外を見たら、もう散乱してた荷物はきれいに片付いてて
嫁の姿もなかった。
その日の夜、義父から嫁が実家に帰ったことを教えられた。
事情を説明したら
義父も人の親なので俺の心情を察してくれ
二人が落ち着くまで、しばらく娘はこちらで預かるから
心配しなくていいと言ってくれた。