ガチガチの珈琲専門店で本当はジャスミンティーは置いてないんだけど、私は私で個人的に飲むために用意してた茶葉を店長に断りを入れてトメに出した。
「顔色悪いので、珈琲より落ち着くかもと思って。ごめんなさい」
と普段は接客も掃除も全て、バイトが泣いて辞める程厳しい店長が何も言わずにサムズアップしてきて笑った。
その後全くお客さんは入ってこなくて一時間くらいゆっくり2杯飲んで笑顔でトメが帰った。
翌週から何故かメニューにジャスミンティーが載っていて
「店長パクリっすよ。アイデア料貰っちゃいますよ?」
「良いよ。時給5円アップね」と
「まじすか!やった!」というやりとりがあり、実際に5円上がってて超嬉しかった。
それからもずっと常連として来て仲良くなって、お客さんが他にいない時なんか二人でずっと話し込んでいたんだけど何故か店長は注意してこなかった。
で計2年半、その珈琲専門店で働いたのだけど大学も卒業してさぁ就職というタイミングで店長からお話が。
「この店のオーナーの別会社で正社員募集してるんだけどどう?」
オーナーが居ること自体知らなかった私。
その会社は興味のあった業種、ちょっと特殊な輸入商社でその会社にも応募出してますよと言ったら、店長慌てて電話し出して仕事が手に着かなくなってしまって私に
「何やってんですか、次はブレンドです(小声」
とか初めて叱ったのは良い思い出。その時は就職にプラスに働けばラッキー程度に考えてました。
就職して2年経って同じ会社の上司と結婚。今の旦那。
結婚前に
「あのさ、ウチの親のこと知ってる?」と聞かれ
「え、何?有名人?何なに?」
と馬鹿なので馬鹿なことを聞き返したら
「いや、それなら良い」と言われナンジャラホイと思ってた。