私は後ろに吹っ飛んで、一瞬脳震盪を起こした。
そしてエンジンの音がして彼氏は去って行った。
何が何だかわからなくて、そのまましばらくボーっとしてた。
そしてしばらくして、そこが田んぼであること。
前日に雨が降って、ぬかるんだ田んぼに自分が刺さっていることに気付いて、声を上げてワンワン泣いたけど、誰も来なかったし。
周りは真っ暗だし、寒くて怖くてタヒにそうだった。
私のバッグは彼氏の車に置いたままだったので車ごと去ってしまったけど、幸い携帯がポケットに入っていた。
深夜1時を過ぎていることに驚いたけど、私は友達の中で一番優しくて面倒見のよいA子に電話した。
妊娠したこと、妊娠を告げたら彼氏に田んぼに突き落とされたこと。
そのまま田んぼに刺さっているけど、自分の場所がわからないこと。
泣きながらA子に伝えると、A子は「何とか探し出すから!」と言ってくれた。
彼氏にその場所に連れてこられる前にいた場所、それから車で何分走って移動したか。
いろんな情報から、A子は車で走り回って私を見つけてくれた。
A子に抱きついてワンワン泣いた。
A子の車に乗せてもらって、自分の体がドロドロなのに気付いた。
A子は「このまま自宅(実家)には送って行けないね」と
私と一緒に郊外のホテルに入って
部屋にすぐ暖房を入れて、お茶を入れてくれて
シャワーを浴びさせてくれて
A子は洗面所で私の服を洗濯してドライヤーで乾かしてくれていた。
翌朝、厳密には夜が明ける前に、急激な腹痛が起きて出血した。
A子と二人で慌てて市民病院に駆け込んだ。