それでも嬢は可愛いし、話も聞いてくれるし、店に行くことは辞められなかった
店外デートも変わらずにしていた
でもあっけなくそれも終わりを迎える
嬢が卒業した
そして同じぐらいショックなことを、俺は知ることになる
本当にたまたま、妻の友人と遭遇した
適当に挨拶をするが、離婚した手前少し気まずい
この人はそもそも俺らが離婚したこと知っているのかもわからない
「妻ちゃんのこと、知ってる?」
妻は病気だったらしい
それも離婚をする前に発覚してて、発覚を理由に離婚に踏み切ったこと
使い込んだお金の使い道も知っていたけど、今更お金が戻ってくるわけじゃないから何も言わなかったこと
妻は俺の金をなるべく使わないようにして、自分の貯金を崩して生活していたこと
「どうして・・・」
思わず呟いた言葉に、妻の友人が妻の気持ちを教えてくれた
「結婚するタイミングで仕事が忙しくて、寂しい思いをさせていたうしろめたさから、夜の店嬢と遊ぶのも我慢してた」
「1君と付き合えた時間が幸せだったから、お金はもらわないことにした」「どうせないだろうしw」
「子どもも望めるか怪しくなったから、もういよいよ駄目だろうと思った」
「いつか私のところに戻ってきてくれると思ったんだけどなあ」
「どうしてこうなっちゃったのかなあ」
人間って極限がくると気持ち悪くなるんだな
もう足元がね、不安定に感じるのよ
高いアクセサリーよりも、コンビニのケーキとか小さいことで喜んでくれたこととか
アクセサリー渡した時も、「嬉しいよ でも自分のために使ってもいいんだよ」と言ってくれたこととか
家に帰ってくると、電気が着いていること、ご飯のにおい
「いってらっしゃい」「おかえりなさい」「気を付けてね」 必ず言ってくれた言葉
遅くなって連絡なしで帰るといつも、「心配した」「無事で良かった」
12年一緒にいたんだ
本当にたくさんのことが溢れてきて、自分がなんでそれを当たり前だと思ってしまったのか