黒い皮手袋をはめた手が伸びてきたので、
握手するような形で掴むと
「ふんぐるどひゃうぇえ」
って感じの悲鳴があがった。
とりあえず、窓で相手の腕を挟むように押さえて手を握りしめつつ
「警察! 警察呼んで!」
と叫んだ。
相手が必タヒで暴れた結果
手袋がすっぽ抜けて逃げられてしまった。
犯人は隣の家のベランダに移ろうとして失敗して
1mちょいの隙間から落下して動けなくなったところを
警察に捕まえられた。
右手を窓の鍵をこじ開ける器具でざっくり切って
左手を窓で挟んでゴリゴリされて怪我して
ベランダを掴めなかったらしい。
犯人は隣の家の息子さんで、
盗聴器の調子がおかしいから。
一度持ち帰って調べようとしたらしい。
そして、怪我したのは俺のせいだから治療代払えと言ってきやがった。
いや、おかしいだろ。
とりあえず隣だし昔からの知り合いだし
大事には出来んしと思ってたが、
全力で叩くことにした。
雉も鳴かずばだよなぁと思ったよ。