その日はいつも通り帰宅したんだけど、帰宅した後もずーっと
「俺、向こう(義兄夫婦)の子供になりたい」
と言うもんだから、私も夫も「いい加減にしなさい」と少し強めに叱った。
それからお盆まで毎日毎日。義兄夫婦の子になりたいと。
何度も「なぜ?」と聞いた。
向こうがお金持ちで優しいから、と返って来た。
そりゃ義兄夫婦共に稼ぐ職業で小梨だから、ウチの子供らにいつも良い物を買ってくれてた。
双子の弟が「俺とお母さんたちと別々に暮らすんだよ?いいの?」と何度言っても「別に平気」と。
最終的に「俺、お母さんよりも叔母さんの方がいい」と言われて、自分でも驚くほど双子兄への色んな感情が消えた。
だからその場で「いいよ。じゃあお盆でさよならだね。荷物まとめなさい」と笑顔で言ったらしい。
それ聞いて双子兄もウキウキと荷造りしたらしい。
お盆で義兄夫婦と会うことがわかってたから、私が事前に義兄夫婦に電話して事情を説明した。
電話口で「あなたたちに差し上げます」と何度も言ったらしい。
義兄夫婦はパニックになってたらしいけど、お盆の時に何時間か話し合って、双子兄は義兄夫婦の養子になることになった。
義両親からしたら、孫が消えるわけでもないので「本当にこれでいいの?」と何度も聞かれた。
「子供本人が望んでるから」と、双子兄を笑顔で見送った。
結局、この人は親としては失格ですね。子供は誰でも、一度は優しい親戚の伯父さんや伯母さんの子供になりたいと思うことはあります。ですが、実際体験してみれば、違うことも理解できます。この双子の兄はやはりまだ幼かったこともあり、体験して1週間で音を上げたわけです。普通の親ならそこで、受け入れて「今度は二度とそういうことを言わないで」と諭して終わりにするのですが、この人はそれができませんでした。どこかで、「双子はお金がかかるし、生活も苦しい。一人いなくなればその分、生活が楽になる。これは渡りに船。チャンスだ。」と考えたのではないでしょうか。夫はもちろん、本人からもSOSが出ていたにもかかわらず、「自分が楽をしたい。こんな面倒な子はいらない。せっかく生活が楽になり始めたのに」という気持ちが強かったのでしょう。結局は、この人は子供のせいにしていますが、本人が一番人としてはだめですね。