病室で意識が戻るとベッドに寝ていて、
俺をボコった女がベッドの横に椅子を置いて座っていた。
彼女は、さっきまでとは人が変わったみたいに優しそうな声で、
俺の手を握り締め、こう言った。
「あなたの身にどんなことがあっても、この先もずっと私がついているから大丈夫よ。」
「確か俺はお前にボコられた気がするんだが・・・」
と言ったら、
「え?何言っているの?頭打ったんじゃない?大丈夫?」
と女が笑う。
どうやら彼女は、病院の人に
「男二人で私の取り合いになって、(俺)くんをなぐった男は逃走した」
と嘘をついたらしい。
彼女の嘘の中では、
俺をなぐったのは、俺の親友Oということになっている。
看護師の前で、
「ねぇ、私、あなたもOくんも大切なの。警察沙汰にだけはしないで。」
と、悲劇のヒロインになりきっている彼女に唖然としつつ、
俺は一生この虚言女に付きまとわれるのか?と、体が凍りついた。