もう10年くらい前の話。
いつも通勤に使っているJR駅の駐輪場で札束を拾った時の話をしようと思う。
その日は仕事が長引いて、終電一本前の電車で地元に帰ってきたんだけど、駅の駐輪場に停めてあった自転車のチェーンを外そうとかがんだ時に、奥の暗がりに茶色い封筒が落ちていることに気づいた。
その封筒は、封ができないほどパンパンにモノが詰まっており、不意に拾って中身を見たらぎっしりと紙が詰まっている。
一瞬でその中身がなんなのかわかった。そう、札束だ。
あまりの厚みに怖くなり、そのまま置き去りにしようかとも思ったが、時間的に人気が少ないし、帰り道には目と鼻の先に交番があってそこを通らなければいけない。
なんだか見て見ぬ振りをするのは、罪悪感に苛まれたので、交番に届けることにした。
交番へ持っていって中身をあらためると、帯がついたお札が3束と、のこりピン札が何十枚かに分かれており、数えてみるとなんと360万円あった。
その時のおれは驚きで心臓がバクバクした。
なぜならしがない平社員の俺はそんなお札の束をこの目で見たことがなかったからだ。
それと同時に、数ヶ月経ってもし誰も落とし主が現れなかったら、これが全て自分のものになるんだという興奮でいっぱいだった。
その時、事の重大さに気づいてもっと冷静になっていれば、こんな事にはならなかったのかもしれない。。。
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