知らないって、自分が買ったんじゃんと言ったら、「家なんて買えるお金、ウチにある訳ないでしょ?」とまた笑いながら言われた。
それから母は、「そう言えばアンタには言ってなかったわね〜」と言って自分から話し始めた。
私が実家だと思ってた家は、実は母の親戚筋の人が建てた家だという事を……
確かに実家に暮らし始めた当初、母の親戚だと言う一家(30〜40ぐらいの女性、その母親らしき人、女性の娘らしい女の子)と
一年ぐらい一緒に暮らしていた。暮らしてたと言っても基本的に生活は別々で、台所とかは共同だからそこで顔を合わせたら頭下げるぐらい。
母からは「家を買うのにお金がかかった、だからあの人達(親戚一家)を一緒に住まわせて家賃を貰って貯金している」と説明されていた。
一年ぐらいして一家は急に出て行ったんだけど、母によると私が知らない所で「我ながら暴れ回ったりして(笑)」とか、
暴言を吐いたりして追い詰めて半ば無理矢理出て行かせたらしい。それ以来、実家は私のものになったんだと。
もう数十年前の事だし、居住権もあるし親戚一家も女性と親はとっくの昔に亡くなったらしいから、問題無いんだと。
そんな事を半笑いでさも武勇伝の様に話す母親が、別の生き物に思えてならなかった。
そう言えば、母親は気分屋で楽しそうに笑っていた次の瞬間に激怒する性格だったし、
父もたまに外で会っていたけれど、一緒に暮らし始めたのは私が中学に上がった頃ぐらいだった。
両親によると、隣県で単身赴任してるって話だったけど、それにしても会うのは不定期だったし、
色々つじつまが合わない事もあった。もしかしたら私の本当の父では無いのでは無いか?と思っていた事もあった。
嫌な思い出もあったので、無理矢理に忘れようとしていただけだった。
母の発言が本当なら、実家は乗っ取りだし、家を建てるか買うかどころの話じゃ無くなって家族には心配されてるし、
無理矢理乗っ取って追い出した親戚一家にはもう謝る事も出来ないし、こんな汚い家族の血を引いているのかと思うと、
本当に自分が嫌で嫌で仕方が無い。辛い。