在学中交際期間を含むのか含まないのか分かりづらい
取ったつもりが取られ返しにあったという流行のNTRになったな
この流れは、この数年なにをやってきたのかとガックリくるだろうな
その通りです。卒業してから二年の交際の後結婚、そして二年が経ちました。
私は学生時代に椎名から圭子を寝とったという認識はありません。圭子から相談される度に、寧ろ椎名を擁護して二人を応援してましたから。
弱みにつけ込む、というのとは違うと思いますが、私が逆の立場なら、彼女とうまく行っていないのをいい事に、ここぞとばかりに言いよってくる女は絶対に信用できませんから。
興信所と突入してからの事を少し書きます。
即座に夫々別室で経緯を聞きました。椎名は男性職員と私から、圭子は女性職員から。
概ね、二人の言ってる事は一致しました。あくまで、「概ね」ですが。
二人は一年程前に、社用で立ち寄った銀行で偶然再会しています。
その時点で所謂下心は二人ともなかったようです。ただ、椎名はその頃出店の準備をしていたらしく、嫁としても当初の夢の続きを追いかけようとする椎名を単純に応援したい、とは思ったようです。
「夢の続き」とは、夢に敗れた椎名がその夢を諦める事が出来ず、関わりを一生持って生きて行こうと決断した、みたいな感じです。
その時アドレスを交換、出店までの間何度もやり取りを行っています。その内容は殆どお店についての事。
圭子としても同じ学部で「夢の続き」については興味も当然あり、仕事上でも少なからず関わりを持っている世界でもあった為、出店へ向けて確実に前進してゆく椎名との会話は、単純にムネがワクワクするような楽しいひとときだったようです。
ただやはり私への罪悪感は否めず、言おうかどうか迷っていたようですが、椎名の「疚しい事は一つもない。同業者としての単なる情報交換だ」との言葉に、半ば無理矢理自分の中で納得させたようです。
この時の事ですが、圭子はこう言っています。
私への秘め事となってからは、椎名とのやり取りがワクワクするものからドキドキするものへ変わっていったと。かつての椎名に対する「想い」が復活し出したのはこの頃からだと。
二人がカラダの関係になったのはそれから僅か一ヶ月後。椎名が無理矢理迫り、強引に奪ったようです。この点について圭子は特に椎名を庇ったりする事もなく、事実のまま「椎名に犯された」と言ってたようです。
その時椎名は圭子に「訴えてくれてもいい。夢を諦めきれずに悪あがきする馬鹿な男はこの世からいなくなればいいんだ。圭子に訴えられるのなら本望だ」と言っています。
ここから二人は定期的に会うようになりました。圭子は母性をくすぐられたのか、放って置けない、と思うのと同時に、はっきりと椎名の事を「好き」だと認識したと言ってきました。
店をスタートさせる際のスタッフとして圭子を引き込むのはたやすかったようです。
圭子は「時期がきたら夫に転職の話をすれば良い、今言ってしまうと怒り狂った夫に店を潰されるかもしれない」と思ったようです。そんな事、あり得ないんですけどね……私の性格をよく知っているのに……
そして椎名は私と職員の顔をカッと見つめ「俺達は学生時代、嫌い合って別れたんじゃない。お互い後悔する事が分かっていながらも別れた。あの時はそれが最善の選択だったからだ」と、言いました。
ここから二人の言い分が微妙に異なりはじめました。
少し書きすぎました。ここからは私も正常ではいられません。
仕事に戻らせてください。
穏やかに時は流れて行く……ですか……
私はどちらかと言うと、浦島太郎になりたい気分です。
二人の言い分が微妙に異なる、と以前書きましたが、ちょっと違うかも知れません。椎名が喋り始めた余計な一言以降の事について、圭子はこの時何も言ってませんでしたから。
正確には、あの時椎名が喋り始めた事は、今まで私は圭子から聞かされた事は無かった事で、私と圭子が付き合い始めてから今日に至るまでの歴史を、完全に転覆させる程のインパクトのあるものだったという事。
今こうして纏めているだけでも目眩がします。