お櫃の中で眠る母の顔は険しかった。
まだ60代半ばのはずなのに眉間と額に深く刻まれた皺。
タヒ化粧を奇麗に施してもらっててもそれは隠せなかった。
葬儀は私と伯母夫婦だけで済ませた。
子供には私の親はもうタヒんでると言ってあるし、
夫には子供を見ててもらって、私ひとりで帰省した。
伯母にはずいぶん非難されたが、遺骨はお寺に預けてある。
自宅に持って帰るつもりはない。
このあとどうしようかまだ決めてもいない。
こんな黒い気持ちを抱えたまま、子供をちゃんと育てられるんだろうか。
子供は可愛いし、この子の為なら命を投げ出してもいいとすら思える。
何故私はこの子のように愛しい存在になれなかったんだろう。