523: 名無しさんといつまでも一緒 2014/11/20(木) 14:05:36.70
そして最後の朝、
妻を抱き上げたとき
僕は、一歩たりとも歩みを進めることができなかった。
その日息子はすでに学校へ行ってしまっていた。
僕は妻をしっかりと腕に抱き、そして言った。
「今まで気づかなかったよ。僕たちの結婚生活に、こうしてお互いのぬくもりを感じる時間がどれほど欠けていたか・・・」
そして僕はいつもどおり仕事へ向かった。
何かにせき立てられるように、とにかくここで、最後の最後で
自分の決心が揺らいでしまうのが怖くて
それを振り切るかのように、車を停めると鍵もかけずに飛び出し
オフィスのある上の階まで駆け上がっていった。
気が変わってしまう前に、オフィスへ行かなければ。早く「ジェーン」のもとへ!
524: 名無しさんといつまでも一緒 2014/11/20(木) 14:07:13.28
ドアを開けるとそこに「ジェーン」がいた。
彼女を見た瞬間、
僕は思わず口にしていた。
「ジェーン、すまない。 僕は離婚はできない。」ジェーン」は「はあ?」という目で僕を見つめ
そして額に手をあてた。「あなた、熱でもあるの?」
僕はジェーンの手を額からはずし、再度言った。
「すまない、ジェーン。僕は離婚はできないんだ。」
「妻との結婚生活が『退屈』に感じられたのは、彼女を愛していなかったからではなく
僕が毎日の小さな幸せを、他愛のない、だけどかけがえのない小さな日常を
大切にしてこなかったからなんだ。
今頃になって気づいたよ。あの日、あの結婚した日
僕が彼女を腕に抱いて家の中へ初めての一歩を踏み入れたあの日のように
僕はタヒが二人を分つまで、彼女をしっかり腕に抱いているべきだったんだ!」