テレビでしか見た事がなかった二段ベッドやシャンデリア。
三時のおやつも初めて食べた。
家に入るとき
「おじゃまします」
と言い、靴を揃えることもその子に教えてもらった。
今思うと友達がいなかった理由がよくわかる。
最低限の礼儀作法や、挨拶すらできなかったんだよね。
ありがとうも言えなかった。
それ以後ちょっとずつ人間らしくなって、小5のクラス替えでは普通に数人の友達ができた。
中学でも普通にふるまえた。
本当にあの子のおかげだと思う。
うちの親は毒親ってわけじゃないが、自分以外どうでもいい人同士が結婚して、家庭を作ってしまった不幸な例なんだろう。
時々叩かれたりハダカにされて外に放り出されたりしたが、ごはんは食べさせてもらってたし、不潔気味だったけど服も買ってもらってた。