その中の大学生のAくんは
コミュニケーション能力も高く
仕事覚えも良く、3日ほどの研修後、接客の方に回った。
研修中は、とても人当たりも良く
きちんとコミュニケートはできていたと思う。
そんな中で新コロナ騒ぎで
宿泊施設の方の仕事はなくなった。
私は自粛中、知り合いから
全くの別業種の仕事に誘われて
宿泊施設が再開するまで、の約束で
そちらで働いていた。
8月にようやくの再開で
宿泊施設の仕事に呼ばれて行くと
土日、お盆は満室、平日でも9割がた
部屋が埋まっている状態で、
しばらく使っていなかった客室清掃に翻弄された。
新コロナの関係で、清掃もふた手間くらい
増えちゃったし・・・
そこにバイトの子達も来てくれて
みんなで頑張って再開の準備をした。
その中にAくんもいたので
「忙しいけど頑張ろう。
週に何回来られる?」と聞くと
「土日とお盆は、フルで入れます」と言うので
「頼もしいね、期待してる」と言って
一緒に頑張った。
再開して1週間で
Aくんが裏方仕事の方に戻ってきた。
女将さんから
「接客でクレームが数件あったから
ちょっとしばらく裏方に行かせる」とのことで
再教育のような感じで私について回ることになった。
私が女将に言われたことは黙って
Aくんには、仕事をいくつか振って
私は自分の仕事をしていた。
Aくんが振った仕事を終えたというので
チェックすると、落ちがいくつもあったので
「何ヶ月も前に教わったことなんて忘れちゃったかもね。
これは、ここをこうして・・・」
「はぁ?高卒のおばさんに教わることなんてないし。
俺、〇〇大学なんだけど」
「・・・今、学歴、関係あるかな。
〇〇大だけど、何?」
「俺は、これからエリート畑に行くし
なんでいちいち高卒のおばさんから
仕事のダメ出しされなあかんの?」
「仕事が完璧ではなかったから。
Aくんにとっては、ここは単にバイト先で
責任とかいらんとか思ってるなら大間違い。
任された仕事ができなかったら言われて当然だし、
そんな通っている大学を誇りに思ってるなら
家庭教師とかしたら?」
「はいはい、高卒のおばさん」
「高卒の私から仕事を教わりたくないなら
どうする?
部署替えして欲しいなら
女将に言いなさいね」
無言でフロントに降りて行ったので
Aくんの仕事の落ちを直していると
内線が鳴ったので出ると
女将さんで、Aくんは暴言を吐いて帰ったらしい。
「何があったの?」と聞かれたので
「あらすじとしては、高卒の私から
仕事を教わるのが嫌だったみたいですね」
と言うと女将さんが
「私は専門学校卒だから
大学に行ってるAくんからしたら
どうかしらねー」と笑っていた。