続き

その後も、先輩はいろんなツールを紹介していった。知り合いのエンジニアに頼んで作らせたというツール。

ところがある日、私のグループで揉め事があった。

先輩を訴えたいというもの。先輩が自作したというツールは、実は他で商材として1万で売られてたものと全く同じだったらしい。先輩は「たまたま同じものができただけ」と言い訳していた。

私にも「頼むから黙っててね。いいね、僕のほうが私子さんより会社から信頼されてる。忘れないで」

と脅すようになった。

更に同じグループメンバーから、私が所属していないグループの人たち（私のグループの人とリアルで仲良しらしく繋がってた）も紹介され、その人たちは先輩の勤め先、所属部署、そこの営業の営業成績、顧客へどんなサ
ービスをしたかなど明らかに先輩経由でないと知りえないレベルの情報を知っていた。

「どうやって知ったんですか？」と聞くと、なんと先輩、自分が割と正社員務めなのを信用に足る証拠だとして、社内画像などを出しまくっていたらしい。
更に営業成績なども社内画像で映っていたため、わかったらしかった。

さーっと血の気が引いていくのを感じた。
企業の情報を漏洩してると知ってしまった以上、放っておくわけにいかなくなった。
私はグループのリーダーの後輩だとは知られていない。
そのため話を合わせつつ、どうするつもりか聞くと、人事部に相談するという。

そしてそこですべてを話すつもりだと。

で、実際複数の人が電話をかけたらしい。

他のグループに対しては
「誰かが僕のことを密告したようです。会社をクビになるかも」
「今現在、半年の停職です。更にそこから半年、給料ナシで働かなければ会社として訴えると言われた。鬼だ。会社が僕を殺す」
「車で追突事故を起こしてしまった。相手から数千マンの金を要求されている。怪我をして動けない」

と嘘をついていたらしいことがスクショとともに報告されてきた。密告された以外全部ウソ。めっちゃ元気に仕事してる。

普通の務め人なら嘘だとわかるレベルだが、自営業や主婦、学生ばかりで、みんなそれを信じて訴訟の準備をやめようとしていた。

あまりのアホさ加減に我慢できなくなり、当時新卒だった私は先輩不在の時に上司に全て話した。
明らかにやばい詐欺だとわかってたが怖くて言えなかった。グループが違ったので会社の情報まで漏れてることに途中で気づき、黙っていられなかった、と謝罪した。

上司は信じられないという顔をして人事に報告していた。
その翌週、先輩は「今日いきなり本社に呼び出されました」「上司に酷く電話で怒鳴られました。ジサツするなよ、そして死ぬまで償えよって脅されました。人生めちゃくちゃにしないで欲しいんです。僕なにかしましたか」と私のいないグループには投稿し続けていた。