なんか、俺的にはうれしい方向にすすんだ。ママさん、この界隈でかなり顔が利いて、
世話好きな人らしい。実は嫁子はある事情で嫁子両親から頼まれて叔母にあたるママが
預かっている状態。俺は支店長の部下として、信用保証がついている形だし。俺が嫁子よりも
かなり年下という点と下戸なのを除けば、大手企業に勤めているごく普通の若者。
嫁子の相手としてママのお眼鏡にかなったというところかな。
日後に嫁子から携帯に電話が来るようになった。同伴出勤のお誘いだった。
お店が暇な時に俺の仕事が終わるのを待って、同伴出勤するようにママから嫁子に指示が
飛んだみたい。そんな時は、ママの好意で嫁子はずっと俺の横にいて、だんだんと打ち解ける
ようになった。俺もこうなってくると、嫁子にちゃんと接しなくてはと思い、付き合うようになった。
何度かデートしたが、まったくもってプラトニックな関係。支店長やママの顔に泥を塗る
ようなことはできないし、なによりも水商売の女性を落として遊ぶような男に見られるのが
いやだった。嫁子とそんな関係から始めるのは、もっといやだったし。俺の好みど真ん中の
女性だから、大事にしたかった。
俺はクルマ好きなので、もっぱらドライブが中心。さすがに昼間と夜ではメイクが違うので
おかっぱヘアが浮いて見える。(笑)夜のメイクだと、へルタースケルターのりりこだけど
昼のメイクだと中森明菜だな。嫁子、俺よりもだいぶ年上なんだけど至って従順。時々、
憂いがある表情をする瞬間があるし。俺とのデート楽しくないのかな?なんて思ったり
していた。それでも、デートの誘いにはいつも応じてくれるし、お店が休みになる日曜日は
いつも一緒にいるという関係になった。年下彼氏として、段々と甘えることも許してくれた。
男女の関係まではなかなかいかなかったが、俺いつも嫁子の膝枕でゴロニャン状態。
そんなこんなで一年ぐらいすぎて、ママから「そろそろ嫁子ちゃんとの結婚どお?」と。
そういえば最近の嫁子は明るくなったなぁ。
数日後、意を決して嫁子にプロポーズした。そしたら、嫁子はいきなり泣き出した。
「俺との結婚いやなの?」と聞くと、首を横に振る。嗚咽しながら、「実はね・・・」
自分の過去を喋りだした嫁子。ここでは詳細は省くが、要は不倫、妊娠・堕胎の挙句、相手からは
捨てられて自暴自棄。相手家庭との揉め事で精神的にも病んでしまって、実家から遠く離れた叔母の
ところで再出発をというところ。「話したくないなら話さなくてもいいよ」と言ったのだが、
「これだけは話しておかないと、こんな私をお嫁さんにして、後悔して・・・というのは
いやだから」。そして最後に「こんな私だけど、ほんとにお嫁さんにしてくれるの?」
で俺のターン「嫁子は、俺を幸せにしてくれるか?」そしたら、べそかいてぐしゃぐしゃな顔で
ニコっと微笑んでうなずく嫁子。「うん、がんばるね」
「じゃぁ、決まりだな。結婚しよう」。それから嫁子はまた号泣。
不倫の泥沼は褒められたものではないが、あくまでも俺と知り合う前の話。そんなことまで
追求なんかしない。これからが大事だし、俺を幸せにしてくれるなら、俺も嫁子を全力をあげて
幸せにする。
ママにも報告。嫁子の経緯も理解していると。そして嫁子の実家へも。義両親には、かなり頭を
下げられて「こんなバカなことをした娘だが、よろしくお願いします」。うちの親は、あっさり
だから、俺が決めたのならそれでいいと。支店長に仲人をお願いして結婚へと。
それから10数年。年上の嫁子はアラフォー世代に。子供も2人できた。
今後とも大事にしてあげてください。
良いお話を感謝なり。