上司は「何なんだ彼は」とあわあわしながら怒ってたけど、どれだけショックだったかは凄く理解できたから皆同意はしなかったし、「謝るべきだと思います」と助言する人もいた。
私が新卒を掴まえて会社に戻し、上司に「新卒君が傷つくのもわかる。一言謝ってほしい。今の上司さんの為に頑張ろうとは思えない」と言って、渋々ながらだけど謝らせた。
その日以降、新卒は上司への対応をガラッと変えた。報告しろと言われたことはしなくなり、話しかけられても無視。
ただひたすら案件を取り続けていた。
そして上期は新卒が一位に、私は追い抜かれて2位になった。
それでも上司はヤケになったのか新卒に「お客様」とあだ名をつけた。
飲み会も新卒を省いて飲むようになり、上司から「アイツは生意気すぎる」と愚痴られたが、そのたびに皆「彼は頑張ってます」「一言でいいので褒めてあげてくださいませんか」と頼んだりしたものだった。
そしてさらに数カ月後、何故か上司の方が休職した。
部下、特に新卒からの口撃に耐えられないという理由だった。
人事が調査に来たとき、皆で事の顛末を話て新卒を庇った。
流石に居づらくなったのか、上司は同業他社に転職した。
正直、嫌味なところはあったものの、他の人には雑談したり励ましてもくれた上司だった。育ててくれた恩を感じる人だった。
なんで新卒にだけ、あんなに当たりが強かったのか今でもわからない。礼儀正しくにこやかな新卒だったのに。