ただ、酔ってるにしても勢いがあまりに常軌を逸してるし、
普段人畜無害で丁寧なのに別人みたいに悪口言いまくって
頭に来るのを通り越して不思議で不思議でしょうがなく、
特に反論せず適当に相槌撃ちながらずっと話を聞いてた。
その内に疲れて潰れて起き上がれなくなったから、
勘定済ませて嫁をおぶって宿まで戻って
ベッドに寝かせてちょっと休ませたら
いきなり起き上がって今度はテンションの高い笑顔になって
「俺くーん、私のこと抱きたい?」
「いえ」
「またまたー、訴えられる心配ないならやりたいでしょー?」
「興味はありますけどそんなに酔ってるのに「残念でしたーこれ見てくださーい!」」
俺の言葉を食い気味に遮って、いきなり服を脱ぐ嫁。
上半身ハダカになった嫁の体は傷痕だらけだった。
火傷と切り傷の痕が上半身のいたるところについてて、
肌は所々白みがかってまだら模様。
鎖骨は両方とも歪んで盛り上がってて、
骨折してくっつき方が悪かったのが見てすぐわかった。
御丁寧に肌着まで外してその場で一周して
背中まで見せてからまたベッドに座って
「こんな女に手を出したがる男なんていますかー?いませーん!残念でしたー!」
ってゲラゲラ笑いだして
あー初対面の時の違和感ってこれだったのかって
一人で納得しつつも、何て言ったらいいのかわからなくて
真正面から目を見据えて「大変だったんですね」って言ったら、
みるみる表情が消えて怒ってるのか泣いてるのかよくわからない顔になって、
タヒね!もう来るな!って叫ばれてまたなぐられた。
今度はグーで。