もう話して無駄だった。
二人に離婚の条件だけ話して帰ってもらった。
二人が帰ってあと、俺は離婚弁護士さんに被害届の手続きをお願いした。
それでその日、夜に元嫁から電話が掛かってきた。
「間男さんが逮捕された。お前なにした?」
と今までに聞いたことのない声で怒鳴られた
そんなに早く逮捕できるかな?と思ってたら会社のほうだった。
でも、会社は直ぐに示談になった。
まぁ、それは仕方ないと思ったよ。
俺が経営してる訳じゃないし、示談金も間男親のからかなり取ったみたいだし。
でも、会社の示談が成立しても今度は俺の方の窃盗で逮捕された。
また元嫁から電話がきたが
「会社と違い、俺は俺の考えがある。話は離婚弁護士さんにしてくれ。」
と言って電話きった。
それから2日してか、間男親が俺に会いたいと離婚弁護士さんに連絡取ってきた。
離婚弁護士さんの事務所で俺は間男親と間男弁護士に会う。
「いっても百万届くか届かないかの被害金額。その倍近い示談金を出す。どうか届けを取り下げくれ。」
間男親の言葉にもう虚無感しかなかった。
離婚弁護士さんは
「そうじゃない」
と言いかけたところで俺が遮った。
「示談は応じません。盗まれたモノの中には仕事で必要な道具もあり、なにより、元嫁が間男の言いなりにしても、モノを盗んで良いという通りはない。しっかり反省してもらいます。」
と湧いてきた怒りを抑えながらいってやった。
間男親や弁護士はそれでも食い下がったが、離婚弁護士さんが
「あんたも弁護士なら人間の感情が金じゃどうにもならんときがあるの知ってるだろう。」
と間男弁護士に言うと間男弁護士は深い溜め息をついて
「わかりました。では、これで」
と席をたった。