目分量から考えたら
産廃用のでかいゴミ箱もすぐいっぱいになって、
それでも入りきらんだろうと思っていたが、
きれいさっぱり片付けてしかもゴミ箱には余裕がある。
ちょっと不思議に思って見に行ったら
廃材がパズルのように整理整頓されて箱の中。
ほとんど余分な隙間もなく埋め尽くされていた。
ゴミ箱の交換でもかなりの経費がかかるのだが、
おっさんが作業にかけた長い時間の時給と比べてもおつりがくる。
翌日配送部門からクレームが。
あそこに置いてたのを今日再利用するはずだったのに…
そしたらおっさん
「どの商品ですか?」
なにやら商品名を書いてるメモ帳を出すや、
配送が使いたいものがどこにいくつあるかを説明。
それって在庫じゃないのにご丁寧に…と思ったが、再利用することで経費削減にもなる。
さらに廃材の中から使えそうなものをきれいにして返品伝票を書いて在庫に戻すなど、おっさんがきてから経費の削減目標まで立てられるほど課長も注目し始めた。
ある日少し気難しい職人が商品取に来た。
商品管理の連絡ミスで、ビス一箱程度なんだけど
モノが用意されてなかったから焦った。
係長がおっさんに急いで取りに行くよう指示。
おっさん年を感じさせない全力疾走で倉庫へ。
戻ってくるまで五分くらいとはいえ客を待たせてこっちはヒヤヒヤだったが、
おっさんは全力で走って戻ってくると職人に
「おまたせしましたぁ〜」
とにこやかに箱を手渡した。
気難しい職人も思わず「フッ」と笑いを漏らし、俺らは「あの人でも笑うのか」と評判になったほど。