実は工事予定なんかなかったが、スコップやらブロックやらを空き地に置いてそれらしく見せかけていた。
しかし柵といっても埋め込み式ではなくただ立てただけのものだったので、無断駐車する車はその柵をのけてまで空きスペースに駐車し、その後柵を元に戻して立ち去った様子だった。
怒り心頭したじーちゃんはついに先週の金曜日に行動に出た。
知り合いから借りてきたユンボで空き地の入り口付近を深さ1メートル・幅2メートルくらいの溝を掘り、青いビニールシートをその上からかぶせて前と同じように工事予定地の柵をした。
土曜の朝、じーちゃんに面白いもん見せてやると言われ俺は菜園に付いていった。
俺が見た光景は、後輪が少し浮いた状態で空き地に突っ込んでいる白い車。
近所の人が数人周りを囲んでヒソヒソしてたけど主は誰かわからなかった。
呆然としている俺にじーちゃんはニヤニヤと車を指差しながら
「これがのいたら穴を埋めるから手伝え。とーちゃん達には内緒にしとけよ」
と言った。
その日の昼過ぎにはJAFが来た。